《鎌倉比事》(読み)かまくらひじ

世界大百科事典(旧版)内の《鎌倉比事》の言及

【青砥藤綱】より

…【小田 雄三】
[伝承と作品化]
 藤綱は名裁判官として文学や演劇に登場し,さまざまな逸話が伝えられている。荘園にまつわる裁判に,一人理を主張して執権の威をはばからず,執権の敗訴を裁定したこと,鎌倉の滑川(なめりかわ)に銭10文を落とし,50文のたいまつを求めてこれを探し,天下の利とした逸話など,《太平記》巻三十五によって名高く,名裁判官としての伝承は,江戸期にも語りつがれ,《鎌倉比事》(月尋堂著の浮世草子,1708刊)など,北条執権の裁判に仮託した物語に書きつがれた。曲亭馬琴作の読本《青砥藤綱模稜案(もりようあん)》(1811‐12刊)は,藤綱の名を借り,和漢の公事訴訟譚を基礎に推理小説風の展開で作品化,これには大岡裁きに共通する説話をも含む。…

【棠陰比事】より

…同じ題名で,寛永年間(1624‐44)に5巻本で刊行,最初の裁判小説として好評を博し,多大の影響を与えた。井原西鶴の《本朝桜陰比事》をはじめ,月尋堂の《鎌倉比事》,作者不明の《日本桃陰比事》と続き,曲亭馬琴の《青砥藤綱模稜案》,講談本の《大岡政談》を生むきっかけとなった。日本の探偵小説の祖ともいうべきものである。…

※「《鎌倉比事》」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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