《鎌倉諸芸袖日記》(読み)かまくらしょげいそでにっき

世界大百科事典(旧版)内の《鎌倉諸芸袖日記》の言及

【浮世草子】より

…演劇の人気で世人の関心をひき,武士的道義を盛り込んだうえに趣向をこらすことができ,没年1735年(享保20)に至るまで多くの作がある。次いで多田南嶺(なんれい)(1750没)に時代物の作が多く,気質物《鎌倉諸芸袖日記》(1743)は佳作。其磧,南嶺の作の多くは京都の八文字屋から刊行,主人八左衛門の商才もあって小説界を制圧,これを〈八文字屋本〉という。…

【気質物】より

江島其磧(きせき)の《世間子息(むすこ)気質》(1715),《世間娘気質》(1717),《浮世親仁形気》(1720)が初期の作で,性別・年齢別に特徴的な性癖の発現を誇張して描き,西鶴の町人物などとは視角を変えた巧みな短編集となっている。その後,多田南嶺の《鎌倉諸芸袖日記》(1743)という社会観察の皮肉さと奔放な表現の佳作があり,和訳(わやく)太郎(上田秋成)の《諸道聴耳(ききみみ)世間猿》(1766),《世間妾(てかけ)形気》(1767)は観察眼の特異さと構成の巧みさで抜群の作。1760‐80年代の末期の浮世草子界は気質物が流行し,永井堂亀友に作が多く,半井(なからい)金陵,大雅舎其鳳(きほう)などの作もあるが,極端に偏頗(へんぱ)な性癖を描き,また単なる類集形式として安易に仕立てた凡作が多い。…

※「《鎌倉諸芸袖日記》」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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