天球上で黄道が赤道と交わる二つの交点のうち、太陽が赤道の南から北に抜ける点が春分点で、太陽がこの点を通過するとき、つまり太陽の黄経が0度に達したときが春分であり、これを含む日が春分の日である。二十四節気の一つで、陰暦2月の中(なか)であり、太陽暦の3月21日ごろにあたる。この日は春の彼岸(ひがん)の中日で、国民の祝日である。この日、太陽は真東に昇って真西に沈み、昼夜の長さはほぼ等しく、この日を境にして北半球では昼がしだいに長くなり、夜は短くなる。
[渡辺敏夫]
気候的には、東日本や西日本ではこのころサクラの開花期の直前にあたるが、気象上の状況としては、温帯低気圧の通過などにより天気は変わりやすい。春分を中日とする前後3日ずつ7日間を彼岸(ひがん)といい、これは農事始めをする時期にあたっている。またこのころ野遊びや山登りを行う地方も多い。
[根本順吉]
二十四節気の一つ。太陽の黄経が0°のときで,太陽は赤道をよぎって南半球から北半球に入る。太陽はこの日真東からでて真西に沈み昼夜の長さがほぼ等しくなる。実際は春分の日でも昼のほうが長いのは日の出(入り)は太陽の中心ではなく上縁が見えるときで計算するのと,光線が大気で屈折して太陽を下からもち上げるようにすることによる。旧暦では春分を含む月を2月と規定していたから春分の日付は2月のうちならどの日付でもとり得た。現在では3月21日(平年)か3月20日(閏(うるう)年)とほぼ一定している。1992年以後では閏年の翌年も20日となり,しだいに20日が多くなり2088年には19日になるが2100年を過ぎるともとに戻る。春分の日の前後1週間が春の彼岸で春分の日を彼岸の中日という。日本や中国の暦法では冬至がもっとも重視され暦計算の基準点であったが,西洋では春分に重きがおかれている。日本では立春からを春とする場合が多いがヨーロッパの春は春分からである。
執筆者:内田 正男
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…天球上で黄道が赤道と交わる2点を分点と呼ぶが,そのうち,太陽が年周運動によって赤道の南側から北側に横切る点のこと。すなわち黄道上で黄経0゜の点である。もう一つの分点が秋分点である。春分点は赤道座標系,黄道座標系などの原点となるので非常に重要であり,その小さな動きにも注意を払わなければならない。天の赤道は歳差や章動のために変動し,一方,黄道も惑星の摂動により変化している。したがって,その交点である春分点も空間に対して変動している。…
※「春分」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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