アイルランド文芸劇場(読み)あいるらんどぶんげいげきじょう

世界大百科事典(旧版)内のアイルランド文芸劇場の言及

【アイルランド演劇】より

…中世に教会で演じられた宗教劇があったことは,文献的に確認されているが,その後久しく土着の演劇は途絶え,もっぱらイギリスの巡業劇団がロンドンの評判作をダブリンで上演するだけだった。1899年,イェーツとグレゴリー夫人の協力によるアイルランド文芸劇場Irish Literary Theatreの設立から,この国の演劇は始まると考えてよい。イギリスやヨーロッパの商業的あるいは自然主義的演劇の模倣ではなく,祖国の神話,民俗的伝統,また社会的現実に題材を求めること,ただし政治的党派性を排して,真の民族的文化の自覚を高めること――このような目標をかかげて同志を集めた運動は,1903年アイルランド国民劇場協会Irish National Theatre Societyへと発展し,04年にはホーニマン女史の援助でダブリンに拠点劇場アベー座が建てられた。…

【アイルランド文学】より

…イェーツらはこういう緊張関係のなかで,偏狭な排他主義や政治宣伝に陥ることをさけて,作品の芸術性を維持しようと努め,また演劇活動に踏みきることによって一般民衆と結びつこうとした。 1899年,イェーツはアイルランド文芸劇場を設立して,本格的な演劇運動に入る。初期にあっては,イェーツの民話劇のほかに,イプセンの影響を受けたエドワード・マーティンやジョージ・ムーアの劇や,ゲール語で書かれたハイドの劇が上演されるなど,運動の方針は必ずしも定まらなかったが,1902年フェイ兄弟の組織するアイルランド素人俳優の劇団を得,翌年アイルランド国民劇場協会に改組,イェーツ,グレゴリー夫人,シングが加わり,優れた作品を次々に生み出した。…

【イェーツ】より

…1889年,ケルト文化特有の非現実への憧れにみちた処女詩集《アシーンの放浪》を出版。良きパトロンのグレゴリー夫人と語らって,99年アイルランド文芸劇場(のちにアイルランド国民劇場協会)を設立。その本拠アベー座の運営による社会的現実との接触は,《キャスリーン・ニ・フーリハン》(1902初演)をはじめとするアイルランド伝説に題材を得た劇作とあいまって,詩人としての成熟をも促した。…

※「アイルランド文芸劇場」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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