世界大百科事典(旧版)内のアガペの言及
【愛】より
…代表的なものの一部を,比較のために要約すれば,つぎのごとくである。
[エロスとアガペ]
プラトンの説く,〈エロスerōs〉の愛は,自己に欠けたものへの欲求である点,上記の〈欲求説〉に近い。しかし,その欲求が,対象自体よりも,対象に発現する,より高い美しさ,完全さ,価値に向かい,究極は〈一者〉との合一を目ざすというのは,〈イデア説〉と同根である。…
【愛餐】より
…アガペとはギリシア語で〈愛〉を意味するが,原始キリスト教教会において持たれた共同の食事をも意味するようになった。この語は新約聖書の中では《ユダの手紙》12節でただ1度言及されるのみであるが,《コリント人への第1の手紙》(11:25)と《ルカによる福音書》(22:20)で言及される主の晩餐式と結びついた食事も,明らかに愛餐を意味している。…
【エロス】より
…これあるによって人間文化の発展も生まれるが,同時にそこから迷いも闘争も生まれてこざるをえない。ところが,このエロスに対して,新約聖書に示された愛,アガペーagapēは,罪なくして人間の苦しみを背負って十字架にかかったイエスに具現される愛であって,人間の罪にもかかわらず神から注がれる絶対的な愛である。それは人間の上昇の道ではなく,神の下降の道であった。…
【キリスト教】より
…ここに最初の教会的自覚の誕生があるといえる。地上のイエスとのつながりは,〈最後の晩餐〉を宗教的生の象徴としての愛餐(アガペー)という共同食事に結びつけることで保たれた。この象徴化は精神化と物質化とを同時にもっているが,サクラメントの制定という法的なものではない。…
【友愛】より
…その後ストア学派で,この語にはより普遍的な人類愛の意味を与えられた。 しかし,友愛ないし博愛の観念がより明確なものとなったのは,キリスト教において,人間の神への愛と人間相互の愛として〈アガペ(愛)〉の観念が確立されることによってであるといえる。そこでは,神を愛するがゆえに隣人をも愛し,汝の敵をも愛するという,人種や階級や性別を超えた人間相互の兄弟愛(隣人愛)としての友愛の観念が生まれた。…
※「アガペ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」