世界大百科事典(旧版)内のアジャン・プロボカトゥールの言及
【おとり捜査】より
…捜査機関またはその協力者(おとり)が犯罪を犯しそうな者に接近して犯罪に導き,犯罪の実行をまってこれを捕らえる捜査方法。従来,日本では,ヨーロッパ諸国にならって,おとりを教唆犯として罰しうるかという点のみが問題とされ(アジャン・プロボカトゥールagent provocateur(〈教唆する刑事巡査〉)の問題),犯罪実行者は当然罰しうるとされていた。しかし,国家がみずから犯人を作り出しながらこれを捕らえて罰するというのは不公正の感を免れず,アメリカでは犯罪実行者の処罰自体を問題にする(わな(エントラップメントentrapment)の理論)。…
【教唆犯】より
…ただし,正犯の法定刑が拘留または科料のみの場合(たとえば侮辱罪)は,教唆犯は原則として処罰されない(刑法64条)。教唆犯の成立には,教唆行為のほかに教唆の故意を必要とするが,おとり捜査のように正犯が未遂に終わることを予期して教唆した場合(アジャン・プロボカトゥールという)にも教唆犯の成立を認めるべきかは争いのあるところである。教唆犯の処罰根拠を正犯による法益侵害に求めれば,未遂の教唆は最終的結果の認識(故意)を欠き不可罰となるが,正犯を堕落させ犯罪者にしたという点に処罰根拠を求めれば,未遂の教唆も当然に処罰さるべきことになる。…
※「アジャン・プロボカトゥール」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」