入梅(読み)ニュウバイ

デジタル大辞泉 「入梅」の意味・読み・例文・類語

にゅう‐ばい〔ニフ‐〕【入梅】

雑節の一。太陽黄経が80度に達した日で、6月11日ごろ。気象では梅雨に入る日をさし地域や年により異なる。つゆいり。 夏》「―や墓さむげなる竹のつゆ/芭蕉」⇔出梅
[類語]梅雨入り梅雨明け

ついり【入梅/梅雨入り】

《「つゆいり」の音変化》つゆのいり。にゅうばい。 夏》

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「入梅」の意味・読み・例文・類語

にゅう‐ばいニフ‥【入梅】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 梅雨の季節にはいること。太陽の黄経が八〇度に達した時をいい、暦の上では、六月一〇日頃にあたる。俗に梅雨と同義に用いられてもいる。つゆいり。ついり。⇔出梅。《 季語・夏 》
    1. [初出の実例]「〈略〉五月節過て壬日を入梅とす」(出典:俳諧・滑稽雑談(1713)五月)
  3. つゆの雨。梅雨。
    1. [初出の実例]「入梅のびしょびしょ降っているある日」(出典:笛(1957)〈幸田文〉)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「入梅」の意味・わかりやすい解説

入梅
にゅうばい

雑節の一つ。梅雨の時期に入る日をいい、暦にはその日を記す。旧暦時代には五月節芒種(ぼうしゅ)に入って第一の壬(みずのえ)の日を入梅とする説を用いた。現行暦では太陽の視黄経が80度に達した日をもって入梅とし、太陽暦の6月11日ごろにあたる。この日から梅雨が始まるわけではなく、およそこのころから雨期に入ることを農家に注意を促すために記載される。梅雨の明けるのを出梅というが、暦には記載されない。

[渡辺敏夫]

気象

この日から梅雨に入るという入梅の日は年によって異同はあるが、5月下旬ごろから始まる走り梅雨の雨と、本梅雨の雨の境界をはっきり決めかねる年も少なくない。気候学的には、梅雨の経過が終わってからあと、各地の降雨状況、気圧配置なども頭に置いて改めて決められている。俳諧(はいかい)では「梅雨入り」「ついり」「梅雨めく」ともいい、夏の季語である。

根本順吉

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「入梅」の意味・わかりやすい解説

入梅
にゅうばい

梅雨の季節に入ること。つゆ入り。毎年6月中旬~7月中旬の約1ヵ月間,九州から東北地方は梅雨の季節に入る。これは,北方オホーツク海高気圧南方小笠原高気圧とに挟まれて,揚子江流域から九州,四国,本州にかけて梅雨前線が停滞するためである。梅雨の入りは,時期的に九州ではいくらか早く始まり,北にいくほど遅れる傾向がある。また毎年一定していない。それで日本の暦では太陽の黄経が 80°に達した日 (6月 11日頃) を入梅と定め,雑節の一つとして旧暦に記載されている。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

百科事典マイペディア 「入梅」の意味・わかりやすい解説

入梅【にゅうばい】

暦では雑節の一つ。太陽が黄経80°を通過する時で,現行暦の6月11日ころ。気象学では梅雨に入る日をさし,暦の入梅が標準になるが,地域,年によりかなり異なる。

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

とっさの日本語便利帳 「入梅」の解説

入梅

暦では、太陽の黄経が八〇度の日(六月一一日頃)。気象上の梅雨入りの日は年により、地方によって異なる。「入梅」を「梅雨」そのものの意味で使う地方もある。

出典 (株)朝日新聞出版発行「とっさの日本語便利帳」とっさの日本語便利帳について 情報

日本文化いろは事典 「入梅」の解説

入梅

入梅は、芒種から5日目、立春から数えて135日目に当る6月11日頃の時期をいいます。この日を境に梅雨の季節に入ります。

出典 シナジーマーティング(株)日本文化いろは事典について 情報

普及版 字通 「入梅」の読み・字形・画数・意味

【入梅】にゆうばい

梅雨入り。

字通「入」の項目を見る

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

世界大百科事典(旧版)内の入梅の言及

【日本列島】より

… 走り梅雨本格的な梅雨に入る前の5月下旬ごろに数日間続くぐずつき模様の天気のことで,〈梅雨の前ぶれ〉などともいう。 入梅梅雨の季節に入ることをいうが,梅雨の季節全体を指すこともある。暦の入梅は,太陽が黄経80度を通る日をいい,6月11日または12日にあたる。…

【梅雨】より

… 梅雨期は四つ,すなわち(1)5月中~下旬,(2)6月上~下旬,(3)6月末~7月上旬,(4)7月中~下旬とに分けられる。(1)は華南や沖縄の入梅,(2)は梅雨前線が本州南岸に停滞する時期で,華中や日本の大部分が梅雨になり,(3)は本州上に前線が停滞しむし暑くなり,その移動に伴って集中豪雨が起こりやすくなる時期で,(4)は梅雨前線が北日本に移動して関東以西は梅雨明けとなり,北日本は梅雨の最盛期となる時期である。
[梅雨期の天気図]
 日本付近の梅雨前線は極気団(冷涼なオホーツク海高気圧)と亜熱帯気団(高温多湿な太平洋高気圧またはその一部の小笠原高気圧)との境目である。…

※「入梅」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

ベートーベンの「第九」

「歓喜の歌」の合唱で知られ、聴力をほぼ失ったベートーベンが晩年に完成させた最後の交響曲。第4楽章にある合唱は人生の苦悩と喜び、全人類の兄弟愛をたたえたシラーの詩が基で欧州連合(EU)の歌にも指定され...

ベートーベンの「第九」の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android