世界大百科事典(旧版)内のアマチュア写真の言及
【写真】より
…だが,初期の芸術写真の中に見られたもののうち,たとえば合成写真という技法自体は,のちG.グロッス,J.ハートフィールド,あるいはE.リシツキー,M.エルンストなどの,フォトモンタージュやフォトコラージュという非合理だが統一的な空間を構築するという近代芸術の中で新しい光をあびるのであった。 〈理想化された映像〉,あるいは典型的には女や風景などの〈美しいものの表現〉としての芸術写真の系譜は,アマチュア写真家が中心になって引き継がれ現代にまで至るが,これは絵画芸術のような技術的習熟を必要としないという写真の性格によるもので,誰にでも,比較的短期間に写真のひと通りの技術は修得することができた。それに写真技術の修得や機器の操作それ自体が,けっして無味乾燥なものではなく,興味深い対象でもあった。…
【スナップ写真】より
…それはカメラが,いわゆる〈芸術的な主題〉ばかりではなく,この地上のあらゆる対象を自由に写真表現のモティーフとして獲得することを可能にし,絵画を範として成立していた芸術写真とは断絶した,写真独自の芸術的表現の基盤を形成することとなった。またスナップショットは,それまであまりかえりみられることのなかったアマチュア写真家,記録写真家たちのアンバランスな構成の写真や,伝統的な絵画の遠近法からはずれた失敗作と思われていた写真の中にも,写真らしい表現の成立をみることを可能にしたのであった。グラフ・ジャーナリズム全盛の時代に,《ライフ》などの誌面を飾った写真の中にもスナップ写真の傑作は数多いし,また,それは今日われわれの日常生活の写真撮影においても,一つの身近な常用手段となっている。…
※「アマチュア写真」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」