世界大百科事典(旧版)内のアルコア判決の言及
【私的独占】より
… しかし理論的に何が違法とされる排除行為であるかは,競争が本質的に他の事業者の排除という要素を含むものであるため判断が難しく,アメリカのアンチ・トラスト法の判例においては,他の事業者より良質廉価な商品を継続的に消費者に提供することによって結果的に独占者となった,いわゆる押し付けられた独占を違法と評価しうるかという,独占禁止法の哲学,存在意義の根幹にかかわる事件もいくつか存在する。これは,結局,独占的事業者の排除による競争的市場構造の維持という経済政策的目的を,非難すべき行為の存否を中心的な問題とする法的判断とどう調和させるのかという問題であるが,アメリカではアルコア判決(1945)等で,倫理的非難と異なる経済的非難といった概念を導入することによって,小企業がなすのであれば問題とならないが,大企業がなすときには非難しうる行為が存在するとの理論構成をとり,かなり大胆に政策的な判断を優先させた例がある。日本においては,1977年の法改正で独占的状態に対する措置の規定が導入され(8条の4),このような問題に対して立法的な解決を図っている。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」