世界大百科事典(旧版)内のイシュマエルの言及
【イスラム】より
…ユダヤ教徒とキリスト教徒も,彼らに授けられた啓示の書を歪曲し隠匿した。 アラブの遠い先祖アブラハムは,その子イシュマエルIsmā‘īlとともにメッカにカーバを建設し,これを住みかとしてアッラーに献上して,子孫の一人を使徒として遣わすよう祈念した。アブラハムは啓示の書こそ授けられなかったが,モーセよりはるかに古い預言者,ハニーフ,ムスリムであった。…
【メッカ】より
…カーバ内にあり,彼の足跡が残されているとされるイブラーヒームの立ち所は,この故事の歴史的信憑性を示す証拠とされている。イブラーヒームが息子イスマーイール(イシュマエル)を神の犠牲にささげようとした場所といわれるミナーMinā,アフリカ生れの妻ハージャル(ハガル)がみどり子のイスマーイールを連れてその間をさ迷ったといわれるサファーṢafāとマルワMarwaの丘,その際幼児を哀れみ,母親の子を思う誠意にこたえて渇きをいやすため神が恵み給うたとされるザムザムZamzamの泉など,カーバとその周囲には,イブラーヒームにゆかりのある土地が数多く,これらはイスラム登場後も巡礼の儀式に深く結びついた場所となっている。 メッカは,文明の喧騒から離れた位置にあり,砂漠のただ中にあって特有の清浄さ,質実剛健の気風を培うには最良の環境にあり,イスラムの教えによれば神から遣わされた最後の預言者であるムハンマドが布教を開始し,数々の模範的な先例を残した場所でもある。…
※「イシュマエル」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」