世界大百科事典(旧版)内のイタリア・ゴシック様式の言及
【ゴシック美術】より
… ポルトガルは,王廟のあるバタラの聖母修道院教会(1387‐),バスコ・ダ・ガマ出航起点地に建てたベレンBelém(リスボン)のヒエロニムス修道院(1499‐)は,いずれもイギリス・ゴシックの影響を示し,後者は後期ゴシック様式に貝殻類,熱帯樹,航海具類をまじえた豊かな装飾をくりひろげ,マヌエル様式の代表的建築をなしている。
[イタリア]
イタリアもゴシック建築の諸要素をうけいれ,ことに窓や細部の装飾デザインをゆたかに駆使して,独自のイタリア・ゴシック様式を展開しているが,バシリカ形式の伝統は強く,幅広い空間構成を維持し,ことに堅固な壁体をもつ建築を保持して,いわばロマネスク様式とルネサンス様式との橋渡しをした中間的存在といえる。11世紀の北イタリアではリブ・ボールトが採用されているが,イギリスの場合のように,これが直接に新様式への推移の機縁とはならず,ゴシック様式は13世紀初めフランスから伝えられたシトー会修道院建築によってはじまった。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」