世界大百科事典(旧版)内のイタリア式簿記法の言及
【簿記】より
… いずれにせよ,中世イタリア説は原史料の解釈により中世イタリア商人間の債権・債務記録(出資主勘定記録を含む人名勘定記録)から出発し,その後貨幣・物財勘定,名目勘定記録を包摂していった各都市の独特の実践的な簿記法(当時は複式簿記という用語はなく,G.A.タリエンテの1533年の著書で〈二つの帳簿での計算tenere conto de libbro doppio〉,またD.マンゾーニの1540年の著書で〈二つの帳簿quaderno doppio〉などと表現されていたイタリア式二重分類簿記法)に複式簿記の起源を見いだすのである。 イタリア式(二重分類)簿記法を理論的に体系化した最古の書物として,通常,ルネサンス期の数学者ルカ・パチョーリの《算術,幾何,比および比例総覧Summa de Arithmetica,Geometria,Proportioni et Proportionalita》(1494)があげられるが,これはその中でもベネチア式簿記法を体系的に述べたものである。ただし,当時のベネチア商人の帳簿ではバルバリゴ父子商会の仕訳帳,元帳が残存しているのみであり,また簿記書に関してもコトルリBenedetto Raugeo Cotrugliの手による《Della Mercatura et del’ Mercante Perfetto》の原稿が1458年に完成されていたといわれている(なお同書の出版は1573年)。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」