世界大百科事典(旧版)内の《お染久松袂の白しぼり》の言及
【お染久松物】より
…また,若い二人をめぐって展開される肉親たちのさまざまな言動にも,いかにも世話物らしい特色がうかがわれるものとなっている。最初の劇化は同月大坂荻野八重桐座の歌舞伎《心中鬼門角(しんじゆうきもんかど)》であるが,次いで歌祭文を通じて一般に流布され,やがて紀海音の浄瑠璃《お染久松袂の白しぼり》(同年4月以前,大坂豊竹座)に至ってその定型が確立した。その後,人形浄瑠璃では《染模様妹背門松(そめもよういもせのかどまつ)》や《新版歌祭文》,歌舞伎では《お染久松心中》《お染久松色読販(うきなのよみうり)》や《是評判(これはひようばん)浮名読売》等の諸作が繰り返し上演されている。…
【新版歌祭文】より
…(1)人形浄瑠璃。世話物。2巻。角書〈おそめ久松〉。近松半二作。1780年(安永9)9月大坂竹本座初演。和泉国の侍相良丈太夫の遺児で野崎村の百姓久作に養育された久松が,奉公先の大坂の質店油屋の娘お染との許されぬ恋のために心中するに至るという経緯を主筋とし,それに久松の主家の宝刀の詮議,悪人たちによる金の横領,久松の許嫁お光の悲恋等々のプロットを絡めて展開させたもの。先行する紀海音の浄瑠璃《おそめ久松 袂の白しぼり》や菅専助の《染模様妹背門松》を踏まえて脚色された作品で,お染久松物の代表作となっている。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」