世界大百科事典(旧版)内のカヌート,Y.の言及
【ウェイン】より
…《コレヒドール戦記》(1945),《硫黄島の砂》(1949)などで〈戦場の英雄〉を演じて人気を得,また,H.ホークス監督の西部劇《赤い河》(1948)で若き日のカウボーイから老け役まで演じて演技力と風格のある第一級のスターとして認められ,以後,《黄色いリボン》(1949),《静かなる男》(1952),《捜索者》(1956)などの一連のフォード作品では主として〈家庭〉にあこがれながらもそこからはじき出される主人公を,《リオ・ブラボー》(1959),《ハタリ!》(1962)などのホークス作品では従来の完ぺきなヒーローとは似て非なる人間的なやさしさをそなえたヒーローとしての〈ジョン・ウェイン神話〉を形象することになる。〈ローリング・ウォーク〉と呼ばれる,特徴ある歩きっぷりは,スタントマンの親友ヤキマ・カヌート(《駅馬車》のスタント監督であり,ジョン・ウェインの身代りをすべてやっている)とともに考え出したトレードマーク的歩き方であった。けんかの〈型〉もその〈振付け〉も,ヤキマ・カヌートとともに編み出したものであり,その後の西部劇の殴り合いシーンの〈振付け〉の基本を作ったといわれる。…
【駅馬車】より
…また奇岩のそびえ立つロケ地,アリゾナ州モニュメント・バレーは〈西部〉を象徴する景観になった。クライマックスのインディアンと駅馬車の〈追っかけ〉は,スピード感あふれる移動撮影の妙技,それまでの映画の〈文法〉を破ったフォードの大胆なモンタージュ,名スタントマン,ヤキマ・カヌートの荒わざなどが相まって比類ない興奮を盛り上げ,アクション映画史上不朽の名場面となり,しばしば他の映画に引用されている。なお,オーソン・ウェルズが《市民ケーン》を撮る前に,1ヵ月間毎晩《駅馬車》を見て映画の技法を学んだというエピソードがある。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」