世界大百科事典(旧版)内のカルテ・ド・ビジットの言及
【肖像写真】より
…つまり,一品製作であるダゲレオタイプ(ダゲール)による肖像写真がルネサンス以来の肖像画を大衆化したのに対して,ネガ・ポジ方式による肖像写真はそれまでの〈肖像〉とは基本的に異なる,ある種の社会化をもたらしたということができよう。 1854年にフランス人A.A.ディスデリDisdériによって特許がとられた〈名刺判写真(カルテ・ド・ビジットcarte de visit)〉は,レンズをたくさん取り付けたカメラによって1枚の原板に8枚,12枚等の写真を写しだすものであったが,これによってよりたくさんの肖像写真が安価に写されたことはもちろんのこと,このシステムを使って有名人の肖像を複写複製して売り出したことは,いままでにない側面を〈肖像〉にもたらした。今日いうところのブロマイド写真の始まりといえるだろう。…
※「カルテ・ド・ビジット」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」