カルネ,M.(読み)かるね

世界大百科事典(旧版)内のカルネ,M.の言及

【天井桟敷の人々】より

…撮影は非占領区の南フランスのニースの撮影所に,19世紀半ばのパリの街並みを復元したオープンセットを建てて行われた(セット・デザインはアンドレ・バルサックとユダヤ人であったために名を隠したアレクサンドル・トローネル)。《おかしなドラマ》(1937),《霧の波止場》(1938),《日は昇る》(1939),《悪魔が夜来る》(1942)に次ぐジャック・プレベール脚本,マルセル・カルネ監督のコンビの代表作かつ最高傑作であり(このコンビの作品によって代表される当時のフランス映画が〈詩的リアリズム〉の名で呼ばれた),おそらく世界中でもっともよく知られたフランス映画の名作である。 第1部〈犯罪大通り〉,第2部〈白い男〉という2部構成で,1840年代のパリのブールバール・デュ・タンプル(〈犯罪大通り〉の名で呼ばれた)を主要な舞台に,パントマイムを舞台芸術にまで高めた偉大な創始者として知られるJ.G.ドビュロー,ロマン派演劇の名優F.ルメートル,悪名高き犯罪詩人ピエール・フランソア・ラスネールといった実在の人物が,娼婦ガランスやドビュローが活躍したフュナンビュール座の座長の娘ナタリーといった虚構の人物と入りまじって,まさに虚々実々の恋愛絵巻をくりひろげる波乱万丈の物語である。…

【フランス映画】より


[戦前の4巨匠と詩的リアリズム]
 〈アバンギャルド〉のドキュメンタリー映画《ニースについて》(1930)から出発し,戦後まで公開禁止になった〈スキャンダラスな〉短編劇映画《新学期・操行ゼロ》(1932),次いで唯一の長編《アタラント号》(1934)を残して,〈天才詩人〉と呼ばれて期待されたジャン・ビゴが29歳で死んだ1934年から,フランス映画はようやく〈暗黒時代〉から抜け出て,新しい時代を迎えることになる。フェデル監督《外人部隊》(1934),《ミモザ館》《女だけの都》(ともに1935)から始まる30年代のフランス映画の〈自然主義〉的傾向は,フェデルの弟子のマルセル・カルネ(1909‐96。《ジェニイの家》1936,《霧の波止場》1938),それにジュリアン・デュビビエ(《我等の仲間》《望郷》ともに1936,《旅路の果て》1939),ジャン・ルノアール(《大いなる幻影》1937,《獣人》1938,《ゲームの規則》1939)などの作品も含めて,映画史家サドゥールによって〈レアリスム・ポエティック(詩的リアリズム)〉と名づけられた。…

※「カルネ,M.」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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