世界大百科事典(旧版)内のカーニバルの言語の言及
【散文】より
…言葉のこの〈対話的定位〉は,同一言語の領域内の相異なる言表の間に,また同一国語の領域内の相異なる〈社会的言語〉の間に,そして最後に同一の文化,同一の社会・イデオロギー的視野の領域内の相異なる国語の間にみられる。散文の諸ジャンルは,こうしたさまざまな異質な言語の組織化によって形成されるが,バフチンは,その典型を,公式の規範的な言表が民衆の俗語と混交し転倒され,大道芸人の口上や呼び声をはじめ広場の民衆の多様な声が形式を与えられる〈カーニバルの言語〉に見いだし,さらにその芸術的な表現をラブレーやドストエフスキーの諸作品に見ている。バフチンの著作は,60年代半ば以降西欧に紹介され,散文の研究を近代小説という狭い枠組みから一挙に解き放つきっかけとなった。…
※「カーニバルの言語」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」