世界大百科事典(旧版)内のクラッパー,J.の言及
【マス・コミュニケーション】より
…なかでも有力だったのがパーソナル・コミュニケーションの実態調査をふまえたラザースフェルドらの〈2段階の流れ論〉で,マスコミはまずオピニオン・リーダーに受け止められ(第1段階),そこでろ過,変形,強調,反論付加などされてその周辺にいる集団メンバーに伝えられる(第2段階)ので,マスコミの影響力が直接に発揮されるというより,オピニオン・リーダーが対面集団face‐to‐face groupの中でもつ個人的影響personal influenceの方が大きい,とする理論である。これに対してクラッパーJ.T.Klapperは,多くの実験や社会調査の結果を総括して,人々の先有傾向predispositionを〈変化〉させる働きが強いのはパーソナル・コミュニケーションの方で,マスコミは先有傾向を〈強化〉する働きが強いという結論を引き出した。 1970年代に入ると,1960年代の理論傾向はマスコミの影響力を過小評価しすぎていたという反省が生じ,マスコミの議題設定agenda setting機能(人々の思想や態度を直接に左右するわけではないが,人々の関心の的を絞り,それを議題として設定する機能)に注目したり,どんな内容でも受容されている限り受け手のなんらかの欲求を満たしている,という受け手の側に立った〈利用と満足use and gratification〉研究の重要さを再確認したりする動きが出ている。…
※「クラッパー,J.」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」