世界大百科事典(旧版)内のクルーケンベルク腫瘍の言及
【癌】より
…癌を完全に定義づけることは難しいが,ひとまず次のようにいうことができる。すなわち,〈癌とは,多細胞生物の体の中に生じた異常な細胞が,生体の調和を無視して無制限に増殖し,他方,近隣の組織に浸潤したり他臓器に転移し,臓器不全やさまざまな病的状態をひき起こし,多くの場合生体が死に至る病気〉である。 癌は多細胞生物の病気であって,細菌やアメーバなど単細胞生物には癌はない。多細胞生物では,1個の生殖細胞が分裂増殖し,さまざまな器官に分化し,全体として調和のとれた個体として活動している。…
【卵巣腫瘍】より
…一方,割面が充実部で占められている場合を充実性腫瘍といい,囊胞部と充実部が混在しているときは半充実性腫瘍というが,この両者を含めて充実性腫瘍と呼称され,その約85%は悪性経過を示すことが多いので,手術時,腫瘍割面を注意深く観察することはきわめて重要である。さらに,卵巣は胃癌や乳癌からも転移しやすい臓器で,消化器癌を原発巣とし,両側の卵巣に発生して粘液を産生する転移性癌はクルーケンベルク腫瘍ともいわれ,有名である。そのほか,卵巣は炎症やホルモン投与,子宮内膜症によっても腫大することがあり,これらは類腫瘍と病変呼ばれている。…
※「クルーケンベルク腫瘍」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」