《クレメンスの第1の手紙》(読み)くれめんすのだいいち

世界大百科事典(旧版)内の《クレメンスの第1の手紙》の言及

【キリスト教】より

…キリスト教徒の迫害についてはタキトゥスなどの史家も触れているので,われわれは初代教会の歴史をある程度は知っていると思いがちであるが,実際には,教義,典礼,教会組織に関する確実な史料はきわめて乏しい。1世紀末の使徒教父クレメンスがコリント教会にあてた《クレメンスの第1の手紙》を見ると,すでにローマの教会がコリント教会の内紛に対し使徒の権威を主張している点が注目される。 キリスト教は都市型の宗教で,都市を中心に教会を築いていった。…

【原始キリスト教】より

…他方,ローマ帝国によるキリスト教徒迫害が,この時期から地域的(とくに小アジア)に強化され,これに対して《ヨハネの黙示録》は皇帝を象徴的に悪魔化し,帝国の滅亡が近いことを予告して信徒を激励する。《ペテロの第1の手紙》や《クレメンスの第1の手紙》は,迫害に苦しむ信徒たちに対してキリストの苦難を提示し,みずからの苦難に耐えることを勧めるが,ローマの官憲には服従することを要求している。なお,迫害下にある教会は多くの棄教者を出すことにもなるが,《ヘブル人への手紙》は彼らに悔い改めの可能性を否定するのに対して,《ヘルマスの牧者》はこれを肯定し,終末以前の〈今〉の時を悔い改めの最後の機会とみなしている。…

【使徒教父】より

…伝統的には〈使徒たちの教えを受けた教父たち〉という意味で用いられている。初期においては《バルナバの手紙》《クレメンスの第1の手紙》《クレメンスの第2の手紙》《ヘルマスの牧者》《イグナティオスの手紙》《ポリュカルポスの手紙》《ポリュカルポスの殉教》の7書のみが含まれていたが,19世紀になってから新たに《パピアスの断片》《クアドラトゥスの断片》《ディオグネトスへの手紙》《ディダケー》が加えられた。 これらのうち《ディオグネトスへの手紙》のみは,本来護教文学と呼ばれる一連の文書に属するのであるが,11章1節で著者が自分のことを〈使徒たちの弟子〉と呼んでいるために使徒教父文書に入れられたと思われる。…

※「《クレメンスの第1の手紙》」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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