世界大百科事典(旧版)内のグレシャム,T.の言及
【グレシャムの法則】より
…つまり良貨は流通過程から駆逐されることになる。1560年イギリス人グレシャムThomas Gresham(1519‐79。貿易・為替・金融業者で,23年間にわたりイギリス国王の財政顧問)がエリザベス女王に対し,イギリスの良貨が海外に流出する原因は貨幣改悪にありと進言したが,3世紀を経てイギリスの経済学者マクラウドHenry Dunning Macleod(1821‐1902)がこれをその著《政治経済学の諸要素》(1858)で〈グレシャムの法則〉と命名した。…
【重金主義】より
…しかし,重金主義が歴史的概念として注目されるのは,16世紀中葉に価格革命への対応策として,これらの諸政策の復活強化が提唱されるようになってから後のことである。〈グレシャムの法則〉で知られるT.グレシャムやJ.ヘールズはその先駆者的存在で,重金主義の代表者はマリーンズGerard de Malynesであった。彼は17世紀の初めに貿易差額論者E.ミッセルデンやT.マンを相手に〈外国為替論争〉を引き起こしたが,大勢はこの時期に〈貿易差額主義balance of trade system〉への転換を示していた。…
【真珠】より
… クレオパトラがアントニウスを迎えた宴会で,耳飾の真珠を酢に溶かして飲んだという伝説は有名だが,酢で真珠を溶かすのは無理であり,また真珠を溶かすほど強い酸では,とても人間が飲めたものではない。しかし,真珠を飲むというのは美食の極致として,しばしば人間の願望にあらわれたもので,たとえば16世紀イギリスの金融業者で〈グレシャムの法則〉によって名高いT.グレシャムは,1万5000ポンドの真珠を砕いて混ぜたブドウ酒でエリザベス女王のために乾杯を捧げたという。エリアーデによれば,真珠は水と女性に結びついた月のシンボルであり,その呪力(じゆりよく)に対する信仰は先史時代から現代にいたるまで世界中どこでも見いだされる。…
※「グレシャム,T.」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」