世界大百科事典(旧版)内のコカロスの言及
【ミノス】より
…海神ポセイドンに祈って雄牛を海中から出現させてもらったお蔭で王位につけたにもかかわらず,約束に反してその牛を海神に捧げなかったため,海神はパシファエが雄牛に恋するように仕向け,その交わりから人身牛頭の怪物ミノタウロスが生まれた。彼はこの怪物を名匠ダイダロスに造らせた迷宮ラビュリントスに閉じ込め,息子アンドロゲオス殺害の償いとして毎年アテナイから送られる14人の少年少女を餌に与えていたが,怪物はやがてアテナイの王子テセウスに退治され,またダイダロスは人工の翼によって空からクレタ島を脱出したので,そのあとを追ってシチリア島に行き,同地の王コカロスKōkalosに殺されたという。以上はおもにアッティカ地方の伝承であるが,これとは別に,彼は最古の海軍の組織者で,海賊を平らげてエーゲ海全域を支配する一方,クレタ島に法を与えて善政を布いたので,同じく有名な立法者であった弟のラダマンテュスRhadamanthys,敬虔をもって知られた英雄アイアコスAiakosとともに,死後,冥界の裁判官になったとする伝承もあり,いずれも,かすかながら,彼の名にちなんでミノス文明とも呼ばれる先史時代のクレタ文明の最盛期の記憶をとどめるものと考えられている。…
※「コカロス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」