世界大百科事典(旧版)内のコッポラ,F.の言及
【アギーレ,神の怒り】より
…〈映画史の異端児〉と呼ばれながらもドイツ表現派の正統的後継者を自認するヘルツォークならではの映像世界,〈時間が失われ,空間が無限に広がる,まるでグリム童話のページのかなたにあるおとぎの国〉が現出する。70年代の若い知識人や芸術家の世代の熱狂的なカルト(崇拝)の対象となって神話化された〈カルトムービー〉の1本で,川を下り伝説をさかのぼるという〈黙示録的な〉イメージ(伝説の黄金郷〈エル・ドラド〉を求めてアマゾン川を下っていく物語である)は,フランシス・コッポラ監督の〈ベトナム物〉の超大作《地獄の黙示録》(1978)の原点と評されたが,これに対してヘルツォークは自作のある種のリメークとして,〈川をさかのぼっていく〉映画《フィッツカラルド》(1981)をやはりアマゾンの奥地にロケして作り,ジョン・ヒューストン的な男の〈野望とその挫折〉を大型汽船の山越えのイメージに描いて見せ,そのスケールの大きさによって,ディノ・デ・ラウレンティスの目にとまり,ハリウッドに招かれることになった。【宇田川 幸洋】【山田 宏一】。…
【ナポレオン】より
…ガンスは1934年にステレオ音響によるサウンド版《ナポレオン》を製作,44年,55年,71年にも新しいシーンや台詞や音響を付け加えた改変版を製作した。80年に,前出の映画史家・映画作家ケビン・ブラウンローKevin Brownlowがガンス自身の協力を得て,オリジナル版に近づけた4時間の版を復元,ラスト20分間の〈ポリビジョン〉方式による映写も含んだこの復元版が,フランシス・コッポラの配給でオーケストラの生演奏を伴った〈フィルム・イベント〉として81年から世界中で公開され,その真価があらためて評価された。【宇田川 幸洋】。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」