世界大百科事典(旧版)内の《この神のへど》の言及
【スカトロジー】より
…また近代に入ると,《今昔物語集》に材を求めて芥川竜之介が《好色》(1923)を,谷崎潤一郎が《少将滋幹の母》(1950)を書く。しかし糞尿のイメージを,趣味的にでなく,作家の内面の象徴として意識的に用いたのは火野葦平の《糞尿譚》(1937)や,戦後の武田泰淳《`愛’のかたち》(1948),田中英光《酔いどれ船》(1949),高見順《この神のへど》(1954)などである。これらに共通するのは,挫折した主人公の自己否定の衝動のはけ口として,糞尿イメージが用いられている点である。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」