世界大百科事典(旧版)内のコルダ,V.の言及
【映画美術】より
…いずれにあっても映画美術を舞台装置やデザインなど,既存の演劇や美術に基礎をおく美学的価値観から解放し,フィルムの光学的特質を最大限に活用した点が特徴的である。その意味で,映画美術の真の確立はトーキー以後の1930年代に求められるべきであり,また,第2次世界大戦中にとくにイギリスを中心とするカラー映画(テクニカラー)の発達が色彩による内容の心理的・劇的・性格的表現に新しい分野を開拓したことも注目される(ロンドン・フィルムを牙城(がじよう)にして〈美術監督art director〉と初めて名のったビンセント・コルダの《バグダッドの盗賊》(1940),《ジャングル・ブック》(1942),M.パウエル=E.プレスバーガー作品《黒水仙》(1947)におけるアルフレート・ユンゲの美術,等々)。 一方,第1次大戦直後のヨーロッパにおける表現主義,シュルレアリスムなどの画家たちの映画美術への協力は,かならずしも映画的造形性を探究するものではなく,あくまでも過渡的なものとみなされるべきであろう。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」