世界大百科事典(旧版)内のサザランド,E.H.の言及
【犯罪学】より
… アメリカ犯罪社会学の犯罪・非行理論のうち1930年代から50年代ごろまでの理論は,個人の非行文化への接触と非行文化の伝達の過程を問題とするシカゴ学派の理論と,犯罪・非行を社会構造との関係でとらえるアノミー理論の二つの流れに大別することができる。シカゴ学派からはショーC.R.ShawとマッケーH.D.McKayの〈文化伝達理論〉とサザランドE.H.Sutherlandの〈異質的接触(ディファレンシャル・アソシエーションdifferential association)の理論〉の互いに関連する理論が発展した。前者は非行多発地域の実証的研究に基づき,そこには住民の交代にもかかわらず世代を超えて伝達されていく固有の非行文化が存在することを指摘した。…
【ホワイトカラー犯罪】より
…職務上の地位を利用してその職務の過程において行われる横領・背任や,脱税,贈収賄,インサイダー取引,独占禁止法違反,経済法規違反,消費者詐欺,環境汚染などその例である。 アメリカの犯罪社会学者E.H.サザランド(1883‐1950)は,従来の貧困者や性格異常者など,社会から脱落した人々が犯罪を生むとする犯罪者観に対し,ホワイトカラーと称される社会的に信望を有する高い地位にある階層の者が,その職務の過程において,社会的に大きな害悪をもたらす逸脱行為を行っている事実を明らかにして,犯罪者観の修正を説いた。また同時に,個人ではなく大企業によって引き起こされる社会的に大きな害悪をもたらす逸脱行為が,伝統的な個人行為者による路上犯罪(殺人,放火,窃盗など)に比して,犯罪として取り扱われ,刑事事件として裁判に付されることは稀であり,企業犯罪=組織体による犯罪が等閑視されてきたことを弾劾した。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」