世界大百科事典(旧版)内のサバチエ方式の言及
【小型映画】より
…〈ブローアップ映画〉としては,ほかに,例えば,表現上の方法論として〈東映W106方式〉と名付けられたブローアップ方式による内田吐夢監督《飢餓海峡》(1964)の実験もある。これはドラマの内的世界を粗い画調で表現しようとするもので,硬調と軟調の16ミリフィルムを使い分けてソラリゼーション(現像処理によって濃淡の階調をつぶしてネガ出しのような画調を作ることで,銅版画が動いているように見える効果)を使ったり,マン・レイが初めて使ったといわれる〈サバチエ方式〉(現像過程で意識的に光線を入れてネガフィルムに感光させ,光の波が走っているような画像を作り出す方法)を導入するなど,〈小型映画〉のもつ実験的特性を遺憾なく発揮させた作品である。ほかにも,マーティン・スコセッシ《タクシー・ドライバー》(1976)のイルミネーションがにじむニューヨークの夜景や,羽仁進《不良少年》(1960)の回想シーンに隠し撮りによる16ミリのショットを挿入するなどのブローアップ効果で成功した作品がある。…
※「サバチエ方式」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」