シュタム(読み)しゅたむ

世界大百科事典(旧版)内のシュタムの言及

【ゲルマン人】より

… カエサル,タキトゥスの著作が出た紀元前後の1世紀から,4世紀後半のいわゆる民族大移動の開始までのほぼ300年間は,まとまった文献史料がなく,その間におけるゲルマン民族全体の動向を実証的にあとづけることは困難である。しかし後の史料から逆推すると,その間,前述した群小キウィタス相互の間に,種々の事情から戦闘,移住,動乱などによる複雑な離合があったらしく,結果的にいって,民族大移動のころになると,かつてのキウィタスのそれぞれの呼称は,ごく一部のものをのぞいて,おおむね史料からその名を消し,それに代わっていっそう大きな集団としての幾つかの部族,すなわちシュタムStammのまとまりができていることがわかる。シュタムの形成は,ほぼ2世紀の中葉から4世紀にかけての,きわめて多様かつ漸次的な現象であったと推察されるが,その内容は,移動中の征服,同盟,連合その他の理由で,幾つものキウィタスが合体したものであり,そうした変動の過程で,シュタムの中にゲルマン人以外の異民族を含む場合も,決してまれではなかった。…

【民族大移動】より

…それは,両者とも移動の過程で雑多な異民族と合体し,かつ変質していると思われるからである。 ゲルマン人についてみると,ゲルマニアの各地では,すでに2世紀の末ころから独自の移動が始まっており,古い政治的まとまりであるキウィタスが漸次に崩壊して,それに代わるより大きないくつかのシュタムStamm,すなわち部族集団が現れ,これが単位となって遠く東方へ,また南方へと移動が活発化していた。東西両ゴート族がたまたまフン族に接触することとなったのは,彼らがバルト海沿岸から2世紀末に移動を始め,定住と移動を繰り返しつつ南東方に進み,ようやく4世紀にいたってドニエプル,ドナウ両川に挟まれた黒海北岸一帯で,東ゴート,西ゴートに分かれて定住していたからである。…

※「シュタム」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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