世界大百科事典(旧版)内のジェルソミーナの言及
【道】より
…34歳のフェデリコ・フェリーニ監督が〈イタリア映画の新しい天才〉として世界に認められた名作で,神あるいは人間の救いをテーマとするフェリーニが,もっとも愛着を感じている自己表白的作品でもある。心も体も野獣のような単純で粗野な大道芸人(アンソニー・クイン)が,貧しい農家から1万リラで買った神のように純粋で痴愚な娘ジェルソミーナ(ジュリエッタ・マシーナ)の愛によって,〈魂の覚醒〉を知る物語を,ニーノ・ロータ作曲の哀切きわまりないメロディに乗せて描き,世界中の心をとらえた。54年のベネチア映画祭で銀獅子賞,56年の米アカデミー外国語映画賞を受賞したが,イタリアでは〈ネオレアリズモ〉から逸脱して象徴主義に堕した作品として,ネオレアリズモの理論家であり脚本家であったチェーザレ・ザバッティーニをはじめ,左翼の批評家から激しく攻撃され,〈ネオレアリズモの危機〉が叫ばれるまでに至った。…
※「ジェルソミーナ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」