スクリーブ,E.(読み)すくりーぶ

世界大百科事典(旧版)内のスクリーブ,E.の言及

【ウェルメード・プレー】より

…フランス語ではpièce bien faiteといい,文字どおりには〈よく作られた戯曲〉を意味するが,普通は,緊密な構成をもち,人物の個性よりも巧みに組み立てられた状況によってプロットが進行する戯曲を指す。19世紀のフランスで確立し,スクリーブEugène Scribe,V.サルドゥー,A.デュマ(子),オージエÉmile Augierなどをおもな書き手とする。おおむね,過去の秘密がしだいに明らかになって中心人物の現在の生活に決定的な影響を及ぼすという物語を,観客を不安がらせたり驚かせたりしながら進行させ,また,結末は既成の道徳観に合致するのが普通である。…

【近代劇】より

…他方,日常的な散文台詞や筋立ての巧妙さなど形式面のリアリズムを推進したのは,18世紀末から19世紀前半にかけての娯楽劇作家たちで,ドイツのA.vonコツェブー,フランスのR.C.G.deピクセレクールに続いて〈うまく作られた芝居〉(ピエス・ビアン・フェット。英語ではウェルメード・プレー)の祖とされるE.スクリーブ(1791‐1861)らであった。その作劇法を踏襲しながら,華やかな社会の裏面に潜む汚点に世間の目を向けさせようとしたのがÉ.オージェ(1820‐89)やデュマ・フィスである。…

【フランス演劇】より

…小デュマ,オージエÉmile Augier(1820‐89),V.サルドゥーが同時代ブルジョアジーの金や性や家族を扱うこの劇作の御三家であり,この現象が19世紀演劇の第2の転機となる。同時代風俗劇は,社会問題を扱う深刻な〈劇(ドラム)〉としては,H.ベックの写実主義劇作術とÉ.ゾラの自然主義演劇へと発展し,逆転と飛躍に満ちた軽喜劇としては,スクリーブEugène Scribe(1791‐1861)の〈歌抜きボードビル〉を受けて〈喜劇としてのボードビル〉を完成させたE.ラビッシュとそれを継ぐG.フェードーに,あるいは第二帝政期パリの華であるJ.オッフェンバックのオペレッタに結実する。ボードレールの説く〈現代生活〉をそのまま映す鏡となることで〈近代劇〉は成立する。…

【ボードビル】より

… ボードビルの喜劇の一ジャンル(すなわち歌と踊りを伴った喜劇)としての確立は,オペラ・コミックのオペラとしての確立と時期を同じくする。19世紀前半にボードビルはメロドラマと並んで最盛期に達し,当時の代表的劇作家スクリーブE.Scribe(1791‐1861)の書いた約350編の作品のうち多くはボードビルである。やがてこのジャンルは衰退をたどり,風俗喜劇にその地位を奪われるが,同時にボードビルの形態にも変化が生じ,筋立てのこみ入った,ややドタバタ風の軽い喜劇全般をボードビルと称するにいたった。…

【マイヤーベーア】より

…彼のグランド・オペラは,ドイツ,イタリア,フランスのオペラ・スタイルを折衷し,その華麗な舞台効果によって,当時広く一般聴衆に歓迎された。スクリーブEugène Scribe(1791‐1861)の台本も大衆受けするものであった。42年プロイセン宮廷音楽総監督に任命され,ベルリンでも活躍した。…

※「スクリーブ,E.」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

大臣政務官

各省の長である大臣,および内閣官房長官,特命大臣を助け,特定の政策や企画に参画し,政務を処理する国家公務員法上の特別職。政務官ともいう。2001年1月の中央省庁再編により政務次官が廃止されたのに伴い,...

大臣政務官の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android