世界大百科事典(旧版)内のタージルの言及
【商人】より
…とくに,より遠隔の世界との商業交易が地域社会と経済の発展の重要な基礎であり,経済活動の実際の担い手として活躍した商人層が国家,社会,文化のあらゆる分野で大きな役割を果たした。本来,アラビア語のタージルtājir(商人)はアラム語からの借用語で,とくに酒類を商う外国系商人を意味したが,預言者ムハンマドの時代前後にはシリア,イラク,イエメンの各方面に派遣されたキャラバン貿易に参加するクライシュ族の大商人は,広くタージルと呼ばれた。 アラブの征服が進み,ヘレニズム世界,イラン世界,インド洋,地中海などのそれまで政治,軍事,経済の諸発展を異にしていた交流圏が,イスラムという一つの共通の文化的ネットワークの中に組み込まれていく過程で,商人層の活躍する史上初の世界的規模の流通圏が実現した。…
※「タージル」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」