世界大百科事典(旧版)内のダングルベール,J.H.の言及
【クラブサン楽派】より
…ルイ王朝期のフランス音楽はベルサイユ宮とパリを中心として一つの黄金時代を迎えたが,宗教的および世俗的な声楽曲,歌劇,オルガン音楽などと並んで重要なのは,ルネサンス時代に盛んだったリュート音楽に代わって登場してきたクラブサン音楽である。この楽派はイギリスのバージナル楽派の影響のもと,シャンボニエールに始まり,その弟子ダングルベールJean Henri d’Anglebert(1628‐91),クープランLouis Couperin(1626ころ‐61),その甥F.クープラン,そしてラモーへと受け継がれていく。彼らは多楽章の舞曲組曲(F.クープランのものは〈オルドル〉と呼ばれる)を書いたが,個々の舞曲は伝統的な様式のみならずしばしば標題音楽的な要素を示している。…
【シャンボニエール】より
…1641年ころからは,〈愛好者の集い〉と銘打った私的演奏会をも主催,当代随一のクラブサン奏者とうたわれた。彼は,17世紀前半にその全盛期に達したフランス・リュート音楽の語法と様式を適用したクラブサン用の組曲を作曲,さらにL.クープランやダングルベールJean Henri d’Anglebert(1628‐91)らの優れた弟子を育て,クラブサン楽派の伝統を築いた。それゆえに今日,クラブサン楽派の始祖といわれている。…
【装飾音】より
…それらはとくにフランスの鍵盤音楽で盛んに用いられ,それらを表示する記号も考え出された。当時の鍵盤音楽の大家,ダングルベールJean Henri d’Anglebert(1628‐91),シャンボニエールらは,装飾音記号とその奏法を記した装飾音表を今日に伝えている。このフランス式装飾音アグレマンagrémentsはバロック音楽一般に普及し,J.S.バッハの《平均律クラビーア曲集》の冒頭に掲げた有名な装飾音表にも強い影響を与えている。…
※「ダングルベール,J.H.」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」