世界大百科事典(旧版)内のチェーン,E.B.の言及
【化学療法】より
…このドーマクの発見に先だつ1929年,イギリスのA.フレミングは,たまたま寒天培地上の黄色ブドウ球菌の集落が,その周辺にできたアオカビの集落によって溶けることを観察し,アオカビの培養濾液の中に各種細菌の発育を阻止する物質(ペニシリン)のあることを報告した。10年後,この報告から出発してイギリスのチェーンErnst B.Chain(1906‐79)とフローリーHoward W.Florey(1898‐1968)は,ペニシリンの再検討と実用化にのり出し,さらにアメリカの協力を得て工業生産にも成功した(1941)。たまたま重症の肺炎にかかった当時のイギリス首相チャーチルが,ペニシリンによって生命を救われたのは有名なエピソードとなった。…
【ペニシリン】より
… 1928年,イギリスのA.フレミングは,偶然に混入したアオカビPenicillium notatumがブドウ球菌の発育を抑えていることを見つけ,このカビがグラム陽性菌に対する強い抗菌性物質を産生していること,さらにそれは低毒性であることを認め,この物質をペニシリンと名づけた。フレミングの発見は当時注目されなかったが,のちにイギリスのH.W.フローリーおよびチェーンE.B.Chainらはこの研究に着手し,40年ペニシリンの分離抽出に成功,41年臨床的にも有効であることが明らかとなり,医学界の革命的できごととなった。これを〈ペニシリンの再発見〉と呼ぶが,これはその後の抗生物質時代の幕開けでもあった。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」