世界大百科事典(旧版)内のチクロ入り食品の不買運動の言及
【不買運動】より
…この運動は,当時普及期にあったカラーテレビ受像機について,以前から国内と輸出の二重価格が問題とされ,また家電業界が独占禁止法違反容疑で公正取引委員会の摘発を受けていたことなどを背景とし,直接にはメーカーの定める〈定価〉が実売価格を大きく上回っていたことに抗議して,70年9月,全国地域婦人団体連絡協議会(地婦連)がカラーテレビの1年間買控えを呼びかけたのに始まる。一方ですでに同年春,人工甘味料チクロの完全追放を要求して地婦連,主婦連合会,日本生活協同組合連合会などからなる〈消費者5団体〉がチクロ入り食品の不買運動を行い,ある程度の成果をあげていたこと,他方では家電業界の対応が拙劣であったこと,などの事情も加わって,地婦連の呼びかけはただちに〈消費者5団体〉による活発な不買運動に発展し,これはヤミ再販の摘発を受けていた松下電器産業に対する抗議をも加味しつつ,翌年4月まで継続された。この間,おりからの不況の中で現実にカラーテレビの売上げなどに相当の影響が現れたため,家電メーカー12社が相次いで従来の同様製品よりおよそ20%も低く実売価格に近い〈定価〉を付したカラーテレビの新機種の発売を決め,また松下電器が独占禁止法違反のヤミ再販の事実を認めて公正取引委員会の審決案に服することにもなった。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」