世界大百科事典(旧版)内の《ツェノドクスス》の言及
【ドイツ演劇】より
…南から入ってきたイタリアのコメディア・デラルテの影響もあり,ハンスブルストやハレキンなどの民衆に親しまれる道化も生まれた。また16世紀半ばから17世紀半ばまでは,宗教改革に反撃するカトリック教団内での演劇も行われたが,とくにイエズス会で,布教の目的で行われた演劇が,ビーダーマンJacob Bidermann(1578‐1639)の《ツェノドクスス》(1602初演)のような,バロックの世界観に裏付けられた水準の高い劇を生み出している。皇帝の即位などの機会に行われた大祝祭行列も,劇場を世界とみるバロック劇の理念を体現しているといえよう。…
【バロック劇】より
…イエズス会演劇では残酷な場面をもつ殉教者劇も,布教の目的でしばしば上演された。傑作といわれるビーダーマンの《ツェノドクススCenodoxus》(1602)は,慢心の罪に陥ったパリの学者の魂を天使と神が奪いあうというファウスト的な物語で,教訓的な内容をもっている。これまで地上の事件のみを扱っていた水平的な舞台構造から,天国,地上,地獄という,垂直的な構造をもつ舞台が考えられているのもバロック舞台の特色であろう。…
※「《ツェノドクスス》」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」