世界大百科事典(旧版)内のつまみ染の言及
【染色】より
…文様の輪郭線を描き起こし,くまやぼかしを加えることは,絞染の特性である染足を整え,かねて文様を明確にするためであったが,やがてそれは白く染め抜いた部分にも絞文様とは関係なく,黒一色の細い線で絵文様を描き,均衡のとれた独自の美を生み出したのである。また,たとえば太閤秀吉所用と伝える〈桐矢襖文辻が花染胴服〉(重要文化財)における桐の文様は,縫い絞った部分をそれぞれの色に染め分けており,つまみ染の技法によって部分的な染色をなしたものと考えられる。このような変化は,辻が花染が従来の単なる絞染の範疇(はんちゆう)から脱して,新しい文様染の一分野として新生面を開いたものといえ,この文様染の出現こそ当代の最も大きな意義の一つといえる。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」