テイ・ザックス病(読み)テイ・ザックスびょう

六訂版 家庭医学大全科 「テイ・ザックス病」の解説

テイ・ザックス病
テイ・ザックスびょう
Tay-Sachs disease
(子どもの病気)

どんな病気か

 β(ベータ)­ヘキソサミニダーゼAの異常により、神経(脳)にGM2ガングリオシドがたまり、障害される遺伝性の病気です。

原因は何か

 β­ヘキソサミニダーゼAの遺伝子異常が原因で、常染色体劣性遺伝します。

症状の現れ方

 重症型では、生後数カ月から筋緊張低下(ぐにゃぐにゃする)や聴覚過敏(音に驚きやすい)が認められます。軽症型では、10歳以降に歩行障害や言語障害が現れます。ふらついたり、筋の緊張の亢進や低下が認められ、いずれも寝たきり状態となり、死に至ります。

検査と診断

 眼底にチェリーレッドスポットが認められ、リンパ球培養細胞を用いて酵素活性を測定し、診断します。

治療の方法

 現在のところ、有効な治療法は確立されていません。

病気に気づいたらどうする

 先天性代謝異常症および小児神経を専門とする医師による診察が必要です。

出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

世界大百科事典(旧版)内のテイ・ザックス病の言及

【先天性代謝異常】より

…(3)中性脂肪代謝異常 血漿中の脂肪の増加,組織への沈着が起こる。(4)複合糖質代謝異常 ムコ多糖代謝異常(例,ハーラー症候群),糖脂質代謝異常(例,テイ=ザックス病,ニーマン=ピック病など一群のリピドーシス),糖タンパク質代謝異常(例,シアリドーシス,アイ・セルI‐cell病),の三つに分けられる。蓄積性疾患が多く,知能障害,骨変化を伴って重症心身障害の原因となる。…

【糖脂質】より

…糖と脂質が共有結合した物質の総称で,グリコリピドともいう。その代表例はスフィンゴ糖脂質であり,これはスフィンゴシン(図1)と脂肪酸が結合したものにさらに糖が結合したものである。スフィンゴ糖脂質は動物細胞の細胞膜に組み込まれて存在し,糖鎖は細胞の外側へと配向している。スフィンゴ糖脂質の構成糖としては,ガラクトース,グルコース,N‐アセチルガラクトサミン,N‐アセチルグルコサミン,フコース,シアル酸が知られている。…

※「テイ・ザックス病」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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