世界大百科事典(旧版)内のトムソン,W.の言及
【エネルギー】より
…なお,83年N.L.S.カルノーは“活力”の保存という概念をすでに暗示しているが,彼の業績は19世紀半ばまで一般には知られなかった。 エネルギーという言葉は,ギリシア語energeia(接頭語en=内部に+ergon=仕事)に由来し,〈物体内部に蓄えられた仕事をする能力〉という意味で,T.ヤングがそれまでの“活力”に代わるものとして用いた(1807)が,1850年代初期にW.J.M.ランキンやW.トムソン(ケルビン)らがこの語を意図的に再使用し始めるまでは一般には使われなかった(英語ではforce,ドイツ語ではKraftなどがそれに当てられていた)。“仕事”を現在の意味(力×移動距離)に定義し,活力の代りに運動エネルギーT=1/2mv2を用いて,その変化高⊿Tと物体に働く力のする仕事Wの関係を⊿T=Wの形に与えたのは,G.G.コリオリである(1829)。…
【温度】より
…なお,効率ηは1を超えることはありえないから絶対温度には下限すなわち絶対0度が存在する。このような絶対温度の概念は1848年にW.トムソン(ケルビン)によって導入された。理想的な熱機関とは可逆的に働く熱機関で,カルノーサイクルに代表される。…
【化学反応】より
…一般に変化は系を構成する粒子ができるだけ乱雑な配置をとる方向に自発的に起こる。これはR.J.E.クラウジウス(1850)およびW.トムソン(1851)によって確立された原理で,熱力学第2法則と呼ばれる。乱雑さはエントロピーの大きさによって測られ,熱力学第2法則は,自発的な変化ではつねにエントロピーは増大する,と述べられる。…
【ケルビン】より
…アイルランドのベルファストの生れ。本名はウィリアム・トムソンWilliam Thomson。1892年,彼の業績に対してバロンの爵位が贈られケルビン卿と名のった。…
【熱起電力】より
…熱起電力は,金属の種類と接合点の温度のみによるので,回路中に精密な電圧計を備えてこの熱起電力を測定することにより,接合点の温度や温度差を検出するためにも用いられる(熱電対)。 ゼーベック効果に関連する現象として,ペルチエ効果とトムソン効果がある。ペルチエ効果Peltier effectは,異種金属の接合点に電流を流すとき,その点に電気抵抗に基づくジュール熱以外の熱の生成あるいは吸収が起こる現象で,34年フランスのJ.C.A.ペルチエによって発見された。…
【リカード派社会主義】より
…ふつう,19世紀の20~30年代のイギリスで,全生産物が労働者に帰属すべきであるという労働全収権right to the whole produce of labor(全労働収益権ともいう)を主張した労働擁護論者の思想をいう。おもな人物としてはトムソンWilliam Thompson(1775‐1833),T.ホジスキン,ブレーJohn Francis Bray(1809‐95),グレーJohn Grey(1799‐1883),エドモンズThomas Rowe Edmonds(1803‐89),レーブンストンPiercy Ravenstone(?‐1830ころ)があり,ときとしてリカード以前のホールCharles Hall(1740ころ‐1820ころ)を含めることもある。 彼らの労働全収権の主張は,D.リカード的な価値論を援用した,一種の剰余価値論を根拠とする場合が多かった。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」