世界大百科事典(旧版)内のトラジェディ・リリックの言及
【オペラ】より
… 第2に,社会的な背景から眺めた場合,歌舞伎はそもそも町人の芸術として興ったが,オペラは発生の時点からして貴族的な芸術であった。その流れを汲むイタリアのオペラ・セーリアopera seria(正歌劇)やフランスのトラジェディ・リリックtragédie lyrique(抒情悲劇)は,古典的な格調の高さにおいて高度の様式美を維持しながら,社会の上層部,支配階級と結びついて発展した。18世紀以降は,これに対して,イタリアではオペラ・ブッファopera buffa(道化オペラの意),フランスではオペラ・コミックopéra comique(喜歌劇,のちにはせりふを含むオペラを意味する),イギリスではバラッド・オペラballad opera(俗謡オペラ),ドイツではジングシュピールSingspiel(歌芝居)など,より庶民的な性格の強いオペラのタイプが興ったが,それらに共通するのは,正歌劇や抒情悲劇の貴族性と形式ばった様式に対する反動とパロディの精神であった。…
※「トラジェディ・リリック」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」