世界大百科事典(旧版)内のトルーマン,D.B.の言及
【圧力団体】より
…その後のアメリカにおける圧力団体の発展はますます目覚ましく,19世紀の30年代にアメリカを視察したトックビルが,〈世界中でアメリカにおけるほど,結社の原理が,多数の異なった目的に対して,成功的に用いられ,あるいは惜しみなく適用されてきた国はない〉(《アメリカの民主主義》1835‐40)と賛嘆したことは有名である。実際,pressure group(圧力団体)という用語自体も1920年代にアメリカで使用されはじめてから一般に広まったのであり,また圧力団体研究にしても,アメリカの政治学者A.F.ベントリーの《政治の過程The Process of Government:a Study of Social Pressure》(1908)に始まり,D.B.トルーマンの《政治過程The Governmental Process》(1951)を経て,現代政治学における主要研究分野の一つとして確立したのであった。このようなアメリカの政治学者の研究関心が,〈圧力下の民主政治〉とも評されるアメリカにおける圧力団体のとりわけ活発な活動とその強大な政治的影響力によって触発されてきたものであることは,いうまでもない。…
【政治学】より
…政治行動論は,コンピューターの発達によって大規模な調査の集計分析や大量データの処理が容易になったために,20世紀中葉の政治学の裾野を大きく拡大し,新しい次元を開くのに貢献した。 他方,市民国家が予定した制度的枠組みをこえて,多数の社会集団や政治運動が政治的決定に影響を与えようと活動するようになった現代社会の政治を背景に,政治的決定が作成される現実的な過程を分析しようという政治過程論の立場に立つ研究も,P.ヘリングやD.B.トルーマンらの研究以降,数多くなされてきている。さらに,大衆の政治意識の研究や拡大の一途をたどる行政の研究など,現代政治の発展とともに広がった政治学の新しい領域も数多い。…
【政治過程】より
…他方,20世紀を迎えて大衆化と組織化が進行するに従い,〈集団の噴出〉現象がはじまり,政治の世界は,個人を単位とした19世紀的な諸制度も,また階級対立しか視野に入れないマルクス主義的な構造論も処理しきれない,多元的な利益集団間の相互交渉の過程として把握するのが実態に即しているという考えが強まった。 このようにして,A.F.ベントリーの《統治の過程》(1908)にはじまり,トルーマンDavid B.Truman《統治過程論》(1951)にいたる政治過程論に立つ多くの著作が生み出された。その多くは,トルーマンに典型的に見られるように,こういう利益集団の相互交渉がやがては均衡に達して,新たな多元的集団の民主主義が生まれるというアメリカ的体制の擁護論を内包していたために,支配階級論に立つマルクス主義政治学との間に激しい論争がしばしば行われた。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」