《トーテムとタブー》(読み)とーてむとたぶー

世界大百科事典(旧版)内の《トーテムとタブー》の言及

【精神分析】より


【応用としての精神分析】
 これはフロイトの定義の(3)に属するであろう。フロイトは,臨床的経験から導き出された自己の理論を基礎として芸術,文化,宗教を論じたが,このうち《トーテムとタブー》(1913)の中で展開した文化論は,彼自身認めるように大胆な仮説であった。すなわちそれは,原父による独裁と女たちの独占→追放されていた兄弟群による原父殺しと女たちの獲得競争→種族保存のために不可避的に成立する近親相姦の禁止→贖罪と原父の神格化=宗教の起源といった一連のエディプス状況が人類の歴史上現実に起こったとする仮定である。…

【フロイト】より


[芸術論,宗教論,社会論]
 フロイトは芸術愛好者だが,創作活動を快楽を生み出す白昼夢と等価なものとみなし,《ハムレット》や《カラマーゾフの兄弟》の中にみられるエディプス・コンプレクスを指摘し,他方,レオナルド・ダ・ビンチの創作の秘密やミケランジェロのモーセ像の意味について論じている。《ある幻想の未来》(1927)では,宗教は人間の未熟な心理の外界への投影,つまり幻想にすぎず,一種の集団的な強迫神経症(その根底にあるのは父なる神に対するエディプス・コンプレクスである)とみる宗教論を展開しており,《トーテムとタブー》(1912‐13)では,原始群族の間でオイディプスの惨劇が現実に行われたと推測している。《文化への不満》(1930)においては,人類の幸福追求にはおのずから限度があること,ならびに有史以来不変の攻撃本能の根強さを指摘し,私有財産制の否定が人性の向上にもつながるとする共産主義の心理的前提は幻想にすぎないと述べている。…

※「《トーテムとタブー》」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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