世界大百科事典(旧版)内のドゥミー,J.の言及
【シェルブールの雨傘】より
…せりふをすべてオペラのように,しかしオペラのような声楽的テクニックの誇示を避けて,自然な演技と日常会話のような表情で歌わせるという〈映画史上かつてない大胆な試み〉に成功した作品。バスビー・バークリー振付のレビュー映画からジーン・ケリーの《雨に唄えば》(1952)に至るハリウッドのミュージカル・コメディにあこがれ,このフランス映画の伝統にはないアメリカ的な〈おとぎばなしの映画的形式〉を追求し続け,港町を舞台に人生の出会いと別れを色彩豊かに描くことを夢みてきた〈映画詩人〉ジャック・ドゥミー(1931‐90)の名を一躍高からしめた。デビュー作《ローラ》(1960)は,メルビルやゴダールによって,〈珠玉の名編〉とたたえられたが,ドゥミーはこの作品を当初,音楽を担当した作曲家のミシェル・ルグランとともにカラーによるミュージカル映画として企画しながら果たせなかった。…
※「ドゥミー,J.」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」