世界大百科事典(旧版)内の《ニッポン無責任時代》の言及
【喜劇映画】より
…東宝を例にとれば,《三等重役》(1952)に始まる《社長》シリーズ(サラリーマン喜劇)と,《駅前旅館》(1958)に始まる《駅前》シリーズ(商売喜劇)は,いずれも,森繁,伴淳三郎,フランキー堺,三木のり平らを軸にした〈喜劇人総出演〉型である。そうした中で,植木等主演の《ニッポン無責任時代》(1962)は,サラリーマン喜劇に属しながら,陽気なピカレスクの輝きを見せ,異彩を放つが,シリーズ化された後続の作品は平凡なものとなった。 喜劇を得意とする作家としては,〈軽薄才子〉と評された初期の市川崑が,《足にさわった女》(1952),《青春銭形平次》《愛人》(ともに1953)などで発揮したモダニズムとダンディズム,また,一見それと似た軽さを示しつつも,戦後的なニヒリズムを根本とした川島雄三の《幕末太陽伝》(1957),《貸間あり》(1959),《しとやかな獣》(1962)などの,世をすねたユーモアも忘れがたい。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」