世界大百科事典(旧版)内のヌック,A.の言及
【入歯】より
…部分床義歯といっても,その当時のものは,骨,象牙,あるいはカバの歯を彫刻したものを,金線あるいは銀線などで隣の歯に結びつけた程度のもので,前に述べた古代の義歯とほとんど差がないもののようである。全部床義歯は,外国で記録に残っているところでは,1680年オランダの外科医で解剖学者のヌックA.Nuck(1650‐92)が,1個のカバの歯を彫刻して下あごの全部床義歯を作ったのが初めてのようである。その後18世紀にはいり,フランスのフォーシャールP.Fauchard(1680‐1761)は,上下のあごの全部床義歯を,スプリングで結びつけて上あごの全部床義歯の維持に成功し,さらに1728年には,スプリングを用いることなく,単に口腔内における陰圧の利用とほおの筋への適合とによって,上あごの全部床義歯の維持に成功した。…
※「ヌック,A.」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」