世界大百科事典(旧版)内のハイニッケ,S.の言及
【口話法】より
…話し手の唇や顔面筋肉の動きから話された言葉を理解する読話(読唇ともいう),発音・発話,残存聴力の活用による聴き取りに基づいている。16世紀中葉,スペインの修道士レオンPonce de León(1520?‐84)によって試みられ,1770年ころ,ドイツのハイニッケSamuel Heinicke(1727‐90)によって本格的なものとなった。以後,消長があったが,1840年ころドイツのヒルFriedlich Moritz Hill(1805‐74)により,日常生活の中で周囲の事物を見たり触れたりしながら母親に話しかけられ,自然に言葉を理解し話すことを学ぶという,普通児と同じ方法で聾啞児に言葉を発達させる原理――母親法の原理,直観法の原理,話し言葉を言語の基礎とする原理,初めから話すことを教授の手段とする原理など――が確立され,聾教育における口話法体制が成立した。…
【聾学校】より
…日本の学校教育法(1947)では,その目的を,聾者に〈幼稚園,小学校,中学校又は高等学校に準ずる教育を施し,あわせてその欠陥を補うために,必要な知識技能を授けること〉と規定している。特殊教育学校としては成立が最も古く,18世紀半ば,フランスのエペーCharles Michel,abbé de l’Épée(1712‐89),ドイツのハイニッケSamuel Heinicke(1727‐90)などによって近代聾学校の基礎がつくられた。19世紀に入って各国に聾学校が設置されたが,指導の内容は,言語指導を中心とした一般教育と職業教育であった。…
※「ハイニッケ,S.」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」