世界大百科事典(旧版)内のハーベー・ロードの前提の言及
【ケインズ】より
…その著《形式論理学》(1884)および《政治経済学の範囲と方法》(1890)によって知られる経済学者で,ケンブリッジ大学の管理者でもあったジョン・ネビルJohn Neville(1852‐1949)を父とし,社会事業にたずさわり,ケンブリッジの最初の女性市会議員,市長などを務めたフローレンス・エイダを母として,ケンブリッジのハーベー・ロード6番地に生まれた。ケインズの知的エリート主義に対して批判者が使う〈ハーベー・ロードの前提〉という言葉はこれに由来する。セント・フェイス予備校から名門イートン校を経て1902年ケンブリッジ大学キングズ・カレッジに入学,〈ユニオン〉をはじめとする各種学生団体に加入すると同時に〈ソサエティ〉と呼ばれるグループのメンバーとなり,リットン・ストレーチーやレナード・ウルフなどとともに,功利主義哲学の批判者G.E.ムーアから強い影響を受ける。…
【国債】より
…しかし現実の成果をみると,アメリカをはじめ主要国の財政収支はインフレが続くなかで赤字が継続していった。この事態に対し,アメリカのブキャナンJ.M.Buchananらは,ケインズ理論は賢者による財政運営を前提に構想されており(このことをハーベー・ロードの前提という),デモクラシーのもとでは,財政の決定と運営とが選挙を通して出現してくる政治家による政治決定の所産であることを無視した結果である,と論評している。そしてデモクラシーの政治過程のもとでは,経済が完全雇用にあろうとなかろうと,国債発行による財政支出の拡大は恒常的になり,国債の累積は継続する内在的傾向をもつと判断する。…
※「ハーベー・ロードの前提」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」