世界大百科事典(旧版)内のヒュッケル,E.A.A.J.の言及
【化学】より
…水素分子の共有結合の理論はW.ハイトラーとF.ロンドンによって初めて定量的基礎が与えられ(1927),さらにスレーターJohn Clarke Slater(1900‐76),L.C.ポーリングによって拡張され,原子価結合法として体系化された。これは今日でもなお有用な手法として利用されているが,一方同じころ,フントFriedlich Hund(1896‐ ),マリケンRobert Sanderson Mulliken(1896‐1986),ヒュッケルErich Armand Arthur Joseph Hückel(1896‐1980)らによって,原子価の量子論である分子軌道法が展開された。分子軌道法は初めはヒュッケル法のようにπ電子だけを扱い,必要なエネルギー積分の値を経験的パラメーターとみなす経験的方法であった。…
【デバイ=ヒュッケルの理論】より
…1923年にドイツのP.J.W.デバイとヒュッケルErich Armand Arthur Joseph Hückel(1896‐1980)が提出した理論で,強電解質溶液論の基礎として重要なものである。電解質溶液の蒸気圧,浸透圧,電気伝導率などの性質を説明するために提出されたアレニウスの電離説では,すべての電解質が溶液中では電離平衡の状態にあると考えた。…
【有機化学】より
…相次いで導入された質量分析法,核磁気共鳴スペクトル法が有機化学者の強力な武器となり,有機化学の飛躍的な発展の原動力となった。それより先,ヒュッケルErich Armand Arthur Joseph Hückel(1896‐1980)は分子軌道法を有機化学に導入した。ヒュッケル分子軌道法はきわめて粗い近似を用いたものではあったが,それまで水素分子といったごく簡単な分子にしか適用できなかった量子力学を有機化学の世界に持ち込んだ点に画期的な意義がある。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」