世界大百科事典(旧版)内のビリー・ビッツァーの言及
【クローズアップ】より
…エドウィン・S.ポーターの《アメリカ消防夫の生活》や《大列車強盗》(ともに1903)の中にもクローズアップが使われている。映画評論家H.A.ポタムキンは,《シアター・ギルド》誌(1930)で,メリー・ピックフォード主演《網を繕う人》(1912)でグリフィスが初めてクローズアップを〈芸術的に〉使ったと指摘しているが,1908年から16年間グリフィスに協力したカメラマン,ビリー・ビッツァー(1872‐1944)の自伝的回顧録《ビリー・ビッツァー,ヒズ・ストーリー》(1973)によると,グリフィスの《イノック・アーデン》(1911)で,ロングとフルサイズを主体にした当時の映画の描写の中に,決定的な1点を瞬間的にとらえて挿入することによって他のすべてを省略する劇的なクローズアップを使ったことになっている。と同時に,例えばバストサイズでとらえられた人間の顔だけを円で囲んでその表情だけを浮き上がらせたり,双眼鏡でのぞいて見たロングの風景の一部を,双眼の形に囲んでそのようすを浮彫にするといった〈アイリス〉の技法にもクローズアップと同じ志向が見られた。…
※「ビリー・ビッツァー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」