世界大百科事典(旧版)内のフェルプス,E.S.の言及
【完全雇用】より
…これらの経済には,上述したような最大の総産出量の存在は必ずしも明らかでなくなる。 E.S.フェルプス,M.フリードマンらのマネタリスト(マネタリズム)と呼ばれる経済学者は,1960年代末,物価上昇と失業率との短期的なトレードオフを認めるとしても,長期的なトレードオフ関係についてはこれを否定している。失業率は長期的には物価水準の変化率がゼロまたは一定となる自然失業率の水準に落ち着き,長期フィリップス曲線は自然率で垂直になる。…
【フィリップス曲線】より
…たとえば失業を減らすにはある程度のインフレの悪化はやむをえない,という当時(1960~70年代)の一般的考え方の根拠ともなった。しかし1960年代に新貨幣数量説(〈マネタリズム〉の項参照)をかかげたM.フリードマンやフェルプスEdmund Strother Phelps(1933‐ )によって,長期的に安定したフィリップス曲線は理論的には存在しえないことが指摘された。すなわち図のような曲線は,人々のインフレ率についての予想が変わらないときのみ(つまり短期にのみ)存在するので,インフレが進行して人々の予想が変化するときは曲線自体が無限に移動するため,図のような安定した関係は消滅するのである。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」