《フォルトゥナータとハシンタ》(読み)ふぉるとぅなーたとはしんた

世界大百科事典(旧版)内の《フォルトゥナータとハシンタ》の言及

【ペレス・ガルドス】より

…もう一つのシリーズは《スペイン現代小説集Novelas españolas contemporáneas》と題され20冊余の小説からなるが,ここでは主としてマドリードの中・下層の庶民の生活が対象となり,スペイン社会のかかえるさまざまな問題が提示される。1886‐87年に書いた宗教的不寛容がもたらす悲劇を扱った《ドニャ・ペルフェクタDoña Perfecta》,不幸な結婚をした中流と下層の2人の女性を主人公とする《フォルトゥナータとハシンタFortunata y Jacinta》などがその代表作である。19世紀のヨーロッパの大作家たちと同じく,芸術的形式の厳密さという点においてはやや欠けるところがあるものの,卓越した観察力と視覚的な描写力を駆使し,19世紀のスペインを小説で描きつくそうとしたガルドスの業績は,バルザックの《人間喜劇》を思わせる。…

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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」